「自立」のその先にある「自律」②
先日、「律」という言葉について書きました。
今日は、そのさらに先【「律」から考える、自立・自律・自由、そして愛情】について深堀していきたいと思います(^_-)-☆
音楽には「旋律」があり、生活には「規律」があり、自分自身を整えることを「自律」と言います。
「律」という一文字には、整える、秩序をつくる、自分を律するという意味があります。
学園で子どもたちを見ていると、この「律」という言葉は、子どもの成長ととても深くつながっているように感じます。
「自分でできる」の、その先へ
学園では「自立」を大切にしています。
自分で荷物を持つ。
自分で着替える。
自分で準備する。
困ったら「手伝ってください」と伝える。
大人がやってしまえば30秒で終わることも、子どもが挑戦すると5分かかることもあります。
見ているこちらは、ついつい手が出そうになります。
「それ、先生がやった方が早いんだけどなぁ……」
でも、ぐっと我慢(笑)。
なぜなら、私たちが育てたいのは、
単に「できる子」ではなく、「自分で考えられる子」だからです。
自立が「自分でできる」ことなら、その次に目指したいのが自律です。
忘れ物も、ときには大切な経験
ある子が、必要な物を忘れたことがありました。
先生は気づいています。でも、すぐには言いません。
本人がしばらくして、「あれ?ない!」
そこで初めて困ります。
探してみる。思い出してみる。先生に聞いてみる。・・・(様々なことを経験しています!)
そして、「次は忘れないようにしよう」と自分で考える。
大人が先回りして、「忘れてるよ!」「これ持った?」「ちゃんと確認した?」
と毎回やってあげれば、その日は困らないかもしれません。
でも・・・、
実は「困った!」には、自分で考え始める力があります。
もちろん、本当に困っているときには助けます。
ただ、転びそうになるたびに大人が抱き上げていたら、「転ばない歩き方」はなかなか身につきません。
安全を守りながら、失敗できるところでは失敗してみる。
これも学園では大切な支援だと考えています。
カントが考えた「自由」
ここで、少しだけ哲学の話です。
哲学者カントは、人間の「自由」について深く考えました。
自由というと、「好きなことをすること」と思いがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
遊びたいから宿題をしない。
腹が立ったから相手を叩く。
欲しいから人の物を取る。
これは自分の意思で行動しているように見えます。
でも実は、「遊びたい」「腹が立った」「欲しい」という感情や欲求に、自分が動かされているとも考えられます。
カントが考えた自由は、そこからもう一歩先にあります。
自分で考え、自分で自分を律して行動すること。
つまり、
「自由とは自律である」
という考え方です。
遊びたい。でも、「先にやることを終わらせよう」と自分で決める。
腹が立った。でも、「叩くのではなく、言葉で伝えよう」と自分で行動を選ぶ。
先生に怒られるからやめるのではありません。
「自分はどうするべきか」を自分で考える。
ここまで来ると、「律」は外から与えられるものではなく、自分の中にあるものになります。
では、「愛情」とは何だろう
子どもを愛していれば、困らせたくありません。
失敗させたくない。
悲しい思いもさせたくない。
これは親として、とても自然な気持ちだと思います。
でも、愛情とは「困らせないこと」だけなのでしょうか。
私は、こんなふうにも考えています。
愛情とは、その子の「今日」だけではなく、その子の「未来」まで考えること。
今日、忘れ物を届けてあげれば困りません。
でも、いつか親も先生も隣にいないところで、その子自身が荷物を準備しなければならない日が来ます。
今日、大人が答えを教えればすぐに解決します。
でも、いつか自分で考えて、自分で決断しなければならない日が来ます。
だから、
手伝うことも愛情。
教えることも愛情。
叱ることもある。
そして、
待つことも、手を出さないことも、愛情です。
むしろ「手を出さずに見守る」というのは、大人にとって結構難しいものです。
手を出した方が、こちらも楽ですから(笑)。
自立から、自律へ。そして自由へ
こうして考えると、これまで学園で大切にしてきたことが、一つの線でつながります。

自立
自分でできるようになる。
↓
自律
自分で考え、自分を律するようになる。
↓
自由
自分の意思で、自分の人生を選べるようになる。
そして、その成長を支える土台にあるものが、
愛情
なのだと思います。
子どもたちの人生に、私たち大人がずっと付き添うことはできません。
だからこそ、何でもやってあげるのではなく、
「いつか私たちがいなくても、この子は大丈夫」
そう思える力を、子ども自身の中に育てていきたい。
「律」という一文字から始まった話ですが、考えていくと、最後は愛情にたどり着きました。
自立から自律へ。
自律から自由へ。
そして、いつか安心して手を放せるように。
その日まで、手を貸したり、声をかけたり、ときには黙って見守ったり。
そんな少しおせっかいな距離感で、これからも子どもたちの成長を応援していきたいと思います。