文月
文字に思いをのせる七月
七月になりました。
一年の半分が過ぎ、いよいよ夏の気配が濃くなってきます。
空は高く、日差しは強く、草木はぐんぐん伸びていきます。
子どもたちの声も、夏の空に負けないくらい元気に響く季節です。
七月の和風月名は「文月」といいます。
「ふみづき」と読みます。
この「文月」という名前には、いくつかの由来があります。
よく知られているのは、七夕に関係する由来です。
七夕には、短冊に願いごとを書きます。
昔の人々も、詩や歌を書いたり、書の上達を願ったりしました。
その「文を書く月」から、「文月」と呼ばれるようになったという説があります。
「文」とは、ただの文字ではありません。
思いをのせるものです。
願いを形にするものです。
心の中にあるものを、相手に伝えるための大切な道具です。
また、稲穂がふくらみ始める月という意味から、
「穂含月(ほふみづき)」が変化して「文月」になったという説もあります。
どちらの由来にも共通しているのは、
目には見えにくいものが、少しずつ形になっていくということです。
短冊に書いた願い。
田んぼで育つ稲の穂。
子どもたちの心の成長。
日々の小さな積み重ね。
どれも、すぐに大きな結果が見えるものではありません。
けれど、確かに育っています。
子どもたちの成長も同じです。
昨日できなかったことが、今日少しできるようになる。
言えなかった気持ちを、ぽつりと言葉にできる。
けんかになりそうな場面で、少しだけ我慢する。
「ありがとう」「ごめんね」が言える。
それは大人から見ると小さな一歩かもしれません。
しかし、その一歩には大きな意味があります。
文月は、文字に思いをのせる月。
そして、育ちを静かに見守る月。
七夕の短冊に願いを書くように、
子どもたち一人ひとりの中にも、たくさんの願いや可能性があります。
「もっとできるようになりたい」
「ほめられたい」
「友だちと仲良くしたい」
「自分の気持ちをわかってほしい」
言葉にできる子もいれば、まだうまく言葉にできない子もいます。
だからこそ、大人はその小さなサインを見逃さず、
焦らず、急がず、丁寧に関わっていきたいものです。
文月。
文字が心を運ぶ月。
願いが空へ向かう月。
稲穂が静かに実りへ向かう月。
七月も、子どもたちの小さな成長を大切に見つめながら、
一日一日を丁寧に過ごしていきたいと思います。