一緒に考えて欲しいこと
「これくらい(いいじゃん・・・)」が集まると・・・

森のふくろう先生
最近ねぇ、考えさせられることがあったんだよ。
保護者の方から、
「マンションの玄関まで送ってほしい」というお願いをいただいた。
(マンションにお住いの方には、子どもたち全員の安全を確保するためにエントランスでの送迎をお願いしている。)
一見すると、それほど難しいお願いには聞こえないかもしれない。
でもねぇ。
私たちが送迎しているのは、その子一人じゃないんだなぁ。
車の中には他にも子どもたちが乗っている。
しかも発達に特性のある子どもたちだ。
目を離せば車内でトラブルになることもある。
飛び出しの危険もある。
パニックになる子もいる。
だから職員は車から離れられないんだよ。
もしマンションのエレベーターに乗って玄関まで送り届けたら、その間、車の中の子どもたちは誰が見守るんだろうねぇ。
一人の安全を守るために、他の子どもたちを危険にさらすわけにはいかない。
これは冷たい話ではなくて、福祉の現場では当たり前の安全管理なんだ。
私たちは児童福祉法に基づいて仕事をしている。
子どもの最善の利益を考えることはもちろん大切だ。
でもその前に、まずは安全。
朝お預かりした子どもたちを、夕方無事にご家庭へお返しする。
これが私たちの最も大切な責任なんだよ。
そしてねぇ。
保護者の方にも考えてほしいことがある。
「これくらい」
そう思う気持ちは分からなくもない。
でもね、
みんなが「このくらい」と言ったらどうなるだろう。
玄関まで送ってほしい。
送迎を最後にしてほしい。
親戚の家に送ってほしい。
宿題を最後までやってほしい。
音読をやってほしい。
個別に対応してほしい。
それを全員分やっていたら、福祉サービスそのものが成り立たなくなってしまう。
福祉制度は一人のためだけにあるのではない。
みんなで支え合うための制度なんだ。
だから私たちは時々、
「できません」と言うことがある。
それは職員が楽をしたいからではない。
意地悪をしたいからでもない。
他の子どもたちの安全と権利も守らなければならないからなんだよ。
今回のケースもそうだ。
留守番ができると判断したのは、第一義的責任を持つ保護者の判断を尊重した結果だった。
しかし、「留守番はできる」と「職員が玄関まで送り届ける」は別の話なんだ。
そして、それぞれご家庭の環境も違うから。
留守番ができるのであれば、その前提に立った環境づくりを家庭で考える必要がある。
家庭で担うべき部分と、福祉サービスが担う部分。
その線引きは、とても大切なんだよねぇ。
私たちはお手伝いさんではない。
便利屋でもない。
子どもたちの成長を支える支援者なんだ。
だからお願いしたい。
何かを要望するときは、
「親として助かるか」ではなく、「子どもたち全体の安全や利益から見てどうだろう」という視点も持ってほしい。
子どもの最善の利益は、
大人の都合の上には成り立たないんだからねぇ。